logo-design-skillとは?使い方・日本語でのロゴ依頼を実際に使って調べてみた動いた
この日に実際に動かした結果です。内容の誤りに気づかれた場合はお問い合わせください。確認のうえ訂正します。
使う前に分かること
| 必要なもの | Claude Code(またはGemini CLI・Codex CLIなど、Agent Skillsに対応するエージェント)、Python 3 |
|---|---|
| 動かした環境 | Linux、Python 3.11.17、Claude Code。 |
| 日本語 | 日本語で使うときの注意あり(下に書いた) |
| 確認日 | 2026-10-09(この日に実際に動かした) |
kaankiziltug/logo-design-skillは、Claude CodeのようなAIエージェントに「ロゴデザイナーとしての進め方」を教え込む、Agent Skills形式のスキルです。ブリーフを聞く→方向性をいくつか考える→実際にSVGで組んで小さいサイズでも崩れないか機械的に監査する→一度立ち止まってユーザーに見せる、という手順がSKILL.mdに書かれています。
今回は、架空の和菓子店「つきみ堂」のロゴを日本語で依頼し、3つの方向性を並べた比較用の画像(コンセプトシート)と、それぞれの狙い・正直なリスクを説明する文章が返ってくるところまでを試しました。このスキルは「方向性を見せて、ユーザーが1つ選ぶまでは色付けや最終データ一式を作らない」という設計になっており、今回もその設計どおり方向性の提示で止まっています。配色・反転版・ロックアップの確定・ファビコンやアプリアイコン一式・プレゼンボード・使用ガイドといった、選んだ後に作られる「フルキット」の部分は試していません。
Claude CodeのSkillとして入れる
配布元はただのGitHubリポジトリで、中のskills/logo-designフォルダをエージェントのSkillフォルダにコピーするだけです。今回のように、今作業しているフォルダ(プロジェクト)だけで使うなら、そのフォルダの中の.claude/skills/の下に置きます(どのフォルダで使っても良いようにしたいなら、代わりにホームフォルダの~/.claude/skills/に置けば同じです)。
git clone https://github.com/kaankiziltug/logo-design-skill.git
mkdir -p .claude/skills
cp -r logo-design-skill/skills/logo-design .claude/skills/logo-design
同じ中身をGemini CLIなら.gemini/skills/logo-designに、Codex CLIなら.codex/skills/logo-designにコピーするだけで使えます。ビルドや依存パッケージのインストールは不要で、フォルダの中身はSKILL.mdというMarkdownの手順書と、依存パッケージ無しで動くPythonスクリプトだけです。
和菓子店のロゴを日本語で頼んでみる
頼んだのはこの一文だけです。
つきみ堂という和菓子店のロゴを考えてほしい。看板商品は満月の下で食べる月見団子。落ち着いた、上質な雰囲気にしたい。月や団子をそのまま絵にするような、ありがちな意匠は避けたい。
エージェントはまず、屋号や看板商品、狙う雰囲気、避けたいものを依頼内容のメモ(ブリーフ)として書き出し、「月見」「堂」といった言葉から「静寂」「間(ま)」「映り込む光」のような連想語を広げていました。同梱のロゴライブラリ(1,400点以上のSVGを業種別に検索できる)で和菓子や食の参考を探そうとしましたが、ライブラリ自体がテック企業のロゴ中心で、該当する業種が無いという制約にすぐ突き当たっていました(この点は後述します)。それでも3つの方向性を実際にSVGで組み、16px・32pxでの見え方と角度のズレのような幾何学的な粗さまで機械的に監査した上で、1枚の比較画像にまとめて見せてきました。
すると、こう返ってきました。
了解しました。つきみ堂、月見団子を看板に、月や団子をそのまま描かない方向で考えます。
今回はヒアリングなしでファストトラックで進めます(前提を以下に置きました。違っていたら教えてください):
- 「つきみ堂」という表記をそのままロゴの正式名として使う
- 和菓子店、季節の行事菓子(月見団子)が看板商品
- 狙う雰囲気:落ち着いた・上質(にぎやかさや原色、かわいいマスコット、金箔グラデーションでの「高級感」演出はしない)
- 避けるもの:満月を円そのまま、団子を串3つの丸そのまま、うさぎのシルエットなど、業界の定番モチーフ
このカテゴリの定番(避けるべきもの)として最初に言語化したのは:満月を円のまま描く、串に刺した丸3つの団子、うさぎのシルエット、金箔やグラデーションで高級感を代替、ゆるい擬人化マスコット、それっぽい毛筆フォントをそのまま使う、の6つです。
(ロゴライブラリで和菓子・食のカテゴリを探しましたが、ライブラリ自体がテック企業ロゴ中心で、該当カテゴリがありませんでした。なので今回はカテゴリ知識は自分の知識から持ってきています。)
3つの方向性を作って、実際にSVGで組んで、16px/32pxでの見え方と幾何学的な粗さ(角度のズレなど)まで機械的に監査した上で並べました。
[concept-sheet.png を添付]
### A — 印(一画の静けさ) ・ 印章(シール)型 ← おすすめ
**アイデア:** 満ちきらない月を、印(はんこ)の枠を破る一本の筆画だけで示す。
**合う理由:**
- 円も団子の粒も一切描いていない。「欠けている・満ちきらない」という間(ま)の感覚そのものが、落ち着いた・上質という言葉に直結する
- 16px・32pxまで形が保たれ、看板にも箸袋にも小さなシールにも使える(監査スコア98〜99/100、近似角のズレなし)
- 「堂」号の店らしい、印章というフォーマット自体が和菓子屋の信頼感と相性がよい
### B — 月あかり ・ 抽象(線)型
**アイデア:** 見えない光源から差し込む、長さの異なる三筋の光で「月あかり」の気配だけを描く。
**合う理由:**
- 月という円も、月見という行為(見上げて待つ)も直接描かず「光」だけで匂わせている。ワードマップで出た「月光は映り込む・差し込む光」という比喩に一番近い
- 単純な線3本なので、将来パターンや動きに展開しやすい
**正直なリスク:** 実際に16px・32pxでレンダリングして見てみたところ、大きいサイズでは美しい「三筋」が、小さいサイズではほぼ1本のチェックマーク風の線に潰れて見えました。看板本体では効きますが、favicon等の極小サイズでは別カットが必要になりそうです。
### C — 包みの光 ・ 抽象(面)型
**アイデア:** 風呂敷に包んだ菓子折りの、折り目にできた小さな三角の欠けだけで「光が差す」ことを示す。
**合う理由:**
- 「月見団子を差し上げる・供える」という所作(贈答・奉書紙の折り)に由来していて、「堂」の屋根のようにも読める二重性がある
- 月の円は一切描いていない
**正直なリスク:** 32pxまで縮小すると、折り目の「光」の切り欠きがほぼ見えなくなり、ただの黒い塊に近づきます。三案の中では最も小さいサイズでの耐性が弱く、単体で見たときに「何の形か」がA・Bより伝わりにくいとも感じました。
**私のおすすめ:** Aを推します。「欠けている・満ちきらない」という一本の筆画だけで、月見の核心(満月そのものではなく、満ちていく過程や待つ気持ち)を直接描かずに示せていて、かつ実寸テストに一番強いからです。ただしBの「光」というアイデアそのものは一番つきみ堂らしいとも思うので、Aの枠の中にBの光の筋を一部取り込む、という混成案もこのあと検討できます。
なお、ロックアップの「つきみ堂」の文字は検討用の仮組み(`<text>`)で、最終版は手で構築したアウトラインに差し替えます。書体は現在IPAGothic(ゴシック)を仮に使っていますが、本来は明朝系など上質な和文書体を別途検討する前提です。商標調査はしていないので、方向性が決まったら専門の商標検索をおすすめします。
**次に:** どの方向で進めるか(またはどこが気に入ったか)教えてください。選んでいただいた方向で、よければ以下を含むフルキットを作ります:
カラーパレット(1色運用・反転版含む)、横組み/縦組みロックアップ、極小サイズ専用カット、ファビコン+アプリアイコン一式、業態に合わせたプレゼンボード(菓子折り・包装紙・店頭サインなどのモックアップ)、1ページの使用ガイド。
実際に見せられた画像がこちらです。各案の下に64px・32px・16pxの縮小版が並んでいて、Bの「月あかり」が小さいサイズではほぼ1本の線に潰れる様子がここでも見て取れます。

月そのものも団子そのものも描かない、という最初の注文を律儀に守りながら、3つとも異なる角度(印章・光の筋・包みの折り目)から「月見」に寄せてきた点と、小さいサイズでの弱点を隠さず自己申告してきた点は、そのまま信頼できる印象でした。
詰まったこと
ロゴライブラリに和菓子・食のカテゴリが無い
同梱のロゴライブラリはSKILL.md自身も「テック企業寄り」と断っていますが、実際に業種で絞り込もうとすると、食・飲食・和風の類が候補にすら出てきません。
python3 .claude/skills/logo-design/scripts/search_library.py --industry food --summary
unknown --industry 'food'. Did you mean: ai-ml, cloud-infrastructure, database-data, design-creative, developer-tools, ecommerce-retail, education, finance-banking, framework-library, gaming, hardware-devices, health, hosting-cdn, marketing-analytics, media-entertainment, open-source-community, os-platform, other, payments-fintech, productivity-collaboration, programming-language, security-identity, social-communication, testing-monitoring, travel-transport
キーワード検索に切り替えても同じでした。
python3 .claude/skills/logo-design/scripts/search_library.py --query "japanese tea wagashi"
0 match, showing 0
この結果、和菓子店というカテゴリ特有の定番・避けるべきモチーフの判断は、ライブラリではなくエージェント自身の知識に頼る形になっていました。SaaSやフィンテックのような、ライブラリに蓄積が厚いテック系の業種で頼んだ場合とは、精度が変わってくる可能性があります。
日本語のタイトルが文字化けする(NO GLYPH)
比較画像を作るconcept_sheet.pyに日本語のタイトルや説明文を渡すと、最初の生成では文字が全て黒塗りの四角(NO GLYPH、対応するフォントが無い時の表示)になりました。
fc-list | grep -i -E "noto|cjk|japan|gothic|mincho|hiragino"
/usr/share/fonts/opentype/ipafont-gothic/ipag.ttf: IPAGothic:style=Regular
ゴシック体(IPAGothic)は入っていましたが、スクリプト側のfont-family指定が最初から英数字向けのフォント名だけで、日本語フォントへのフォールバックが無いのが原因でした。該当行はこうなっています。
font = "font-family=\"system-ui,-apple-system,'Segoe UI',Helvetica,Arial,sans-serif\""
ここに手元で使える日本語フォント名を先頭に足すと、タイトルも凡例も正しく表示されるようになりました。
font = "font-family=\"IPAGothic,system-ui,-apple-system,'Segoe UI',Helvetica,Arial,sans-serif\""
同じ理由で、ロックアップ(文字とマークを組んだ版)を試作するスクリプトでも、最初に指定した明朝体(Hiragino Mincho ProNやNoto Serif JP)がこちらの環境に無く、同じ文字化けが起きました。入っているフォントに差し替えて解決しましたが、「落ち着いた・上質」という狙いに合う明朝系の書体そのものは、今回の環境には無かったため試せていません。日本語でこのスキルを使う場合、使いたい日本語フォントが手元の環境に入っているかどうかで、比較画像の見た目が変わる点は知っておいた方がよさそうです。
HTMLのプレビューシートは今回確認できなかった
比較や実寸テスト用にHTMLのプレビューシートを作る機能もありますが、それをPNG画像として撮影する段では、今回使った環境にはChromium系のブラウザが見つからず失敗しました。
python3 .claude/skills/logo-design/scripts/render_png.py work/preview/preview.html --out-dir out --size 1400
could not screenshot work/preview/preview.html: no Chromium-based browser found for HTML screenshots
SVG単体を直接PNGに変換するほう(cairosvg経由)は問題なく動いていたので、今回はそちらのルートで16px・32pxの見え方を確認しました。HTMLプレビューシート経由の見え方は試せていません。
チェックポイントで止まる設計
このスキルの手順書には「ユーザーが方向性を選んでOKと言うまでは、キット(色・反転版・ロックアップ確定・favicon一式・プレゼンボードなど)は作らない」とはっきり書かれています。今回もその通りで、3方向の提示と推薦理由を伝えたところで止まり、次に何を作るかはユーザーの返事待ちになりました。「とりあえず1案だけ仕上げて」と圧をかけたわけではないのに、全部まとめて一度に作り切ろうとせず、律儀に手を止めてきた点は、スキル固有の価値だと感じました。
まとめ
「月や団子をそのまま描かない」という注文を守りながら、印章・光の筋・包みの折り目という3つの異なる切り口でロゴ案を出し、それぞれの強みと小さいサイズでの弱点まで正直に申告してくる、という一連の流れを日本語の一言だけで引き出せました。ロゴライブラリが和菓子のようなジャンルには手薄な点と、日本語フォントの扱いにクセがある点は、使う前に知っておくとよさそうです。今回はユーザーが選ぶ前の「方向性の提示」までで止めましたが、方向性を選んだ後に作られる配色・ロックアップ確定・ファビコン一式・プレゼンボードまでの本番の「キット」がどの程度の完成度で返ってくるかは、また別の機会に試してみたいところです。